ベトナムドン
ベトナムで暮らすにはベトナムドン(VND)が必要になる。ちょっと前までは市中のレストランでも米ドル(US$)表記のメニューが置いてあってUS$で支払いが出来ていたが今はもうそんなことはできない。
観光、短期出張でベトナムに来る場合は空港で日本円やUS$をVNDに両替することになるんだろうけど長期出張となるとなかなかそうはいかない。
私の場合は当地の銀行に開設した口座に毎月一定額を送金してもらってそれを生活費などに充てている。
口座はUS$口座とVND口座があって、会社からはUS$がUS$口座に振り込まれる。あとは自分で必要な分をUS$からVND口座に振り替えて使っている格好だ。
実はこのUS$口座、利息は一切つかない。世の中ではUS$金利が上昇している昨今、わが道をゆくベトナム。
一方でVND口座に振り替えると年率5-6%くらいの利息がつく。日本の預金利息と比べるとかなり高い利率と言える。でも一旦VNDにしちゃうとUS$に戻すことはほぼ不可能。闇の両替に頼るしかない。いくら利息が高いからと言って無暗にVNDにしてしまうとベトナム国外ではほぼ紙切れ同然の通貨を大量に抱え込むことになる。
うーん。
で、ある日手持ちのベトナムドンが少なくなってきたのでUS$の一部をVNDに振り替える作業をネットバンキングでやっていた。その時何気なく定期預金のメニューを見ていたらVNDで預けた定期預金の元金と利息を満期時に振替える口座にUS$口座が選べるようになっていた。嘘やん、と思ったが試しに少額のVNDを1か月定期にして満期時に元金と利息を米ドル口座に戻すようにセットしてみた。そしたら手続きは問題なく完了した。
待つこと1か月。
満期を迎えたVND定期預金の元金と利息は米ドル口座に振替えられていた!
これは予想外だった。これが可能なら利息のつかない米ドル口座に無意味に米ドルを寝かせておく必要はない。
当面使わない分はVND定期にしとけばいいんじゃね?
試算してみた。
US$→VND、VND→US$が発生するがそのレート差は約1%ほどであることがわかった。1年の間に為替レートが大きく変化しなければVND定期の利息6%を考えるとリスクは小さいと思われた。過去のレートの推移を調べてみるとこれまた非常に安定していて、うまくいけばVND定期が満期を迎えてUS$口座に戻される際には最低でも3%は利息がついたと同じになるんじゃないかとという結論に達した。
早速実行に移した。
毎月米ドルを受け取るたびに全額VNDに振替えて当面必要な生活費を除いて残りのVNDで1年定期を組んだ。
ネットバンキングシステムでは預けてある定期預金毎にその日まで発生した利息額が確認できるようになっているので時折その数字を眺めながら半年ほどが過ぎた。そしてある日、銀行の担当者から連絡があった。
サーセン、サーセン
あの~、これってうちのシステムの間違いで本当はダメなんっすよね~
これからは遠慮してもらっていいっすかね〜
ほんとサーセン
ある程度予想はしていたので来るべきものが来たという感じだった。それではどうしろと言うのだということで交渉にも似た相談の結果その時点で定期預金化されているものについてはそのままの契約で実行。但し今後は一切同じことをしないで欲しいと念を押された。ま、仕方なし。
そして満期を迎えたVND定期たち、無事にUS$で3%ほど増えた形でUS$口座に戻ってきました。
でも銀行と「もうやめときます」という約束をしちゃっているから出来ないし、それよりなにより銀行のネットバンキングシステムが改良(改悪(笑))されてしまい今では上記のような手続きは出来なくなっちゃいました。
今は金利のつかない米ドル口座とベトナム国外ではほとんど使いみちのないVNDの間で揺れ動く毎日を送っているのであります。