ボンベイでの素敵な出会い
駐在中の素敵な出会いをダイジェストで御紹介
インド出張3ヶ月 石材屋のおっさん
ある日タージマハルホテルのShamianaというコーヒーショップでお一人様ランチを楽しんでいました。
いつもは事務所近くのチャイニーズとかインド料理とかのランチが多いのですが月に一度くらいは自分へのご褒美として5スターホテルのコーヒーショップで豪華なランチを楽しむことにしていたのです。
オーダーしたクラブサンドイッチ(豪華じゃないな(笑))にようやく配膳されてそれにかぶりつこうとしたときウエイターがやって来て、
Sir, one gentleman would like to have a talk with you.
Could you please do him a favor?
Who is it?
What is the matter with me?
He is our guest from Japan, sir.
He wants to have a chat with you if you don’t mind.
ウエイターはそう言いながら少し離れたところにあるテーブルを指差した。そこには日に焼けた感じの日本人っぽいおっさんが1人で座っており、こちらをちょっと心配そうな面持ちで見ていた。悪い人には見えなかったのでウエイターに「いいよ。ちょっと話してみるよ」と告げそのおっさんのところへ向かった。それでもこれは新手のナンパか何かなのではないかと内心心配もした。
聞けばおっさんは日本で石材商を営んでいて今回御影石の仕入れに3ヶ月ほど前からインド出張中だと言う。石材の仕入れは石を切り出している現場を転々としながら現地業者と交渉していくスタイルでもう3ヶ月間連続でインド南部のド田舎の石切場を巡回しておりその間一言も日本語を話していない。できれば食事を一緒にしながら世間話でもさせて欲しいと・・・。切望にも似たお願いを受けることにしてウエイターにクラブサンドをおっさんのテーブルに移動するよう頼んだ。
その後2時間ほど喋る喋るそのおっさん。自分紹介から始まり、今回の出張中の苦労話から私を見つけたときの心情まで。おっさんの名前、そのとき話した内容などは忘れてしまったけど最後にランチをご馳走になったのははっきり覚えている。ありがとうおっさん。
アラブの王子様に会いに行く娘と母
これまたタージマハルホテルのコーヒーショップでの出来事。前述の石材商のおっさんとは別の日だ。
クラブサンドにかぶりつこうというその時またウエイターがやって来て「あちらの日本人親子が話があると言っているのでちょっと聞いてあげて欲しい」と。見れば中学生くらいの女の子を連れた日本人らしい母親がこちらに会釈をしていた。特に美人と言うわけではなかった。何か困っているのかなと思いウエイターに「いいよ。ちょっと行ってくるわ」と席を立ち2人の座るテーブルへ向かった。
テーブルに近づくと母親が立ち上がるなりいきなり
「日本の方ですか?あ〜良かった。ちょっとお聞きしたいことがありまして・・・・実はこの子がアラブの王子様と文通をしておりまして今回その方に会いに行く途中なのでございます。それで、ボンベイまで来たのですがここから先のフライトが生憎キャンセルになりまして適当なフライトがエアーインディアしか無いのですが堕ちたりしないですか?」
俺が知るか!!
内心思ったが「私も何度か乗りましたけど思ったよりしっかりしていましたよ」とかなんとか適当に返答して自分の席に戻った。勿論エアインディアを利用したことなんて一度もない(笑)。
その後アラブの王子様とやらに無事に会えたのかどうかも含めてあの母娘がどうなったかは知らん。
顔面蒼白で徘徊する日本人女性
香港というチャイニーズレストランで私しか頼まないチャーシュー麺を食べながらガラス窓越しに外を眺めているとバックパックを背負った日本人らしき若い女性が顔面蒼白で通り過ぎて行った。暑い中大変だなぁと思いながら麺をすすっているとまたその女性が反対方向から歩いて来て元来た方向に通り過ぎてゆく。しばらくするとまたと言った具合に何往復かしていた。顔面蒼白に見えていたのは見慣れてしまったインド人の肌の色に比べるとそう見えるんだろうと最初は思っていたが何度か見るうちにそれが体調不良によるものだとわかった。
そうこうしているうちにまた彼女が通り過ぎそうになったので思い切ってレストランから出て「大丈夫ですか?」と声を掛けてみた。
いきなり日本語で声を掛けられて最初はびっくりした様子だった。
ここで食事していたら前を何度も行ったり来たりしているし、見れば顔色が良くないしおせっかいかとも思いましたけど大丈夫なのかなと声を掛けましたと説明。そしたらその娘さん「タージマハルホテルに泊まりたいのですがどうすれば良いかわからなくて」と仰る
なんだか悲壮感アリアリだったので取り敢えずレストランで冷たいものでいかが?とレストランに入ってもらい話を聞くことにした。
レモンソーダを注文。
まずは自己紹介をして彼女に事情を聞くと、
- 2週間ほど前から1人でインド旅行に来た
- 普段はサルベーションアーミーとかYWCAとか安宿に泊まっている
- 連日の安宿宿泊に疲れたのでたまには良いホテルに泊まってリラックスしようと思い近くまで来たけどどうして良いのかわからずウロウロ
- 実は2−3日前からお腹の調子も最悪でフラフラ
タージマハルホテルは会社で契約があるから宿泊するのであれば少しだけど安く泊まれることを伝えて予約してあげることにした。チェックインは今すぐ。お腹の調子が悪いのは薬を飲んだ方が良い、正露丸なんて全く効かないので現地の薬局で薬を買って飲んだ方が良いとアドバイス。チェックインは自分で出来ると言うのでその場で挨拶を交わし、何かあれば連絡をと名刺を渡して別れた。
その後彼女がタージに滞在中に何度か電話をもらって薬やら日用品の調達をお手伝いした記憶がある。
相手が女性なので最終的に世話は事務所の秘書役の女性に頼んだ。
その後帰国した彼女から丁寧なお礼の手紙を頂いた。どこかいっちゃったけど。
怒りの関西女子
出張者の出迎えに空港に行ったときのこと。空港に着いてから出張者のフライトが2時間ほど遅延していることが判明した。当時は前もって遅延が広くアナウンスされているわけではなかった。さてどうやって時間を潰そうかと思案しているとエアーインディアの女性スタッフが私に向かって微笑みながら手招きをするではないか!自分で自分の鼻先を指差しながら俺のことか?という仕草をすると彼女がそうだと返してきた。すぐさま彼女のところに歩み寄った。
事務所で一緒にお茶でもどうですか?
え、いいんですかぁ〜
ぜひぜひぜひ
お茶に誘われてホイホイとエア・インディアの事務所に入って行った。事務所の一部は空港到着ロビーに面していてそこにINFORMATIONカウンターを兼ねたガラスの入った窓口が設定されている。そこに座れと促されて素直に座った。そしたらガラスの向こうに日本人の女性が居た。随分お怒りのようなのがその表情から見て取れた。
あんた!日本人か!?どんだけ待たせんねんな!?
いきなりガラスの向こうから怒鳴られた・・・・。
どうやらさっきのエアインディアの女性スタッフにハメられったぽい。
取り敢えずその日本人関西弁女史に同じく関西弁で「自分はボンベイに駐在している日本人なんやけどエアインディアとは関係はあらへん。たまたまここに居合わせただけ。たぶんインド人スタッフが日本語がわからへんからちょうどそこに居った自分がお茶に誘われてここに連れて来られたわけや」と説明。
関西人女性はこちら側の事情をすぐに飲み込めたらしかった。
それでも彼女の怒りは鎮まることがなかった。というか鎮めなかったと言っても良いと思う。利用できるもんはなんでも利用せんと損やという感じがアリアリと伝わってきた。
聞けば空港送迎アリのホテルを予約してやって来たものの、到着しているのに送迎が来ていない。どうなっているんだ?この窓口に来たが誰も対応してくれない。初めてインドに来て右も左もわからんのにどうせぇっちゅうねん!?ということらしい。
知らんやん
と思ったが一応エア・インディアの地上スタッフに彼女の用件を説明。すると「あぁ、またあのホテルですね。送迎アリと宣伝してゲストを集めているみたいですが実際はなくてこういうケースが多発してるんです」とのこと。そうなんやね。んで、それを関西人女性に説明するのはボクの役割なんやね?えぇ、えぇやりますよ、やります、やらせていただきます。
関西女子に聞いたままを説明しようと外に出た。そこには関西女子ともう1人の友人が居た。友人の方の女性は可愛い人で「色々申し訳ありません〜」と愛想の良い人だった。
それはお困りですよねぇ〜♬
外に出て関西女子とその御友人に事情を説明。落胆する2人にタクシーでホテルに向かうしかないことを説明。タクシーなんか怖くて乗れないと言う関西女子にさっきの勢いはどうしたんやと思いながらも比較的安心でリーズナブルなプリペイドタクシーを紹介。それでも躊躇する関西人女性をなんとか説き伏せ、プリペイドタクシーに支払うルピーへの両替、プリペイドタクシーカウンターでタクシーチケット購入、荷物をタクシーまで運び、タクシーの運ちゃんに行き先を告げ、彼女たち2人が乗ったタクシーを見送った。俺は何をやっているのだ?
距離からすれば車ですぐの場所なので会社の車を使ってもらっても良いかなと思ったけど車が出払っている間に出張者が到着したらまずいと思いやめといた。
その後エアーインディアの事務所に戻り熱いチャイをご馳走になったのは言うまでもない。時々英語のわからない日本人が来て対応に困ることがあるからまたお願いねとか言われながらチャイをすすっていると出張者のフライトは更に1時間遅延した。
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ほるすさんお久しぶりです!
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