美少年タージマハルに100回行く

駐在していると色々な人がやって来る。
会社の偉い人、偉そうな人、上司、同僚、後輩、友達、親族などなど。偉い方が来られるとなると取引先訪問といった通常業務だけではなくて観光のアレンジなんかもやることになる。

インドの観光と言えば鉄板なのがタージマハル。そう長く駐在したわけではないけどその間にタージマハルにはかなりの回数足を運んだ。この記事のタイトルにある100回はさすがに大嘘だが両手両足の指の数だけでは足りないと思う。誰といつ行ったかなんて覚えてられなかった。出張で来られた方は人生で一度の経験だろうから何年何月まで鮮明に覚えてらっしゃる方が多い。時折仕事で面談したときにそのときの話になることがあるが一緒にお連れしたことは覚えてはいるが何年何月まではさすがに覚えてない。

タージマハルはデリーから200キロほど南南東へ下ったアグラという街にある。ナショナルハイウェイと呼ばれる県道に毛が生えたような道路を3−4時間ぶっ飛ばすと到着する。200キロを3−4時間かけて走破するわけで道路の品質は推して知るべし。今がどうなっているのかは知らん。金曜まで取引先訪問などの仕事をこなしてからデリーに移動。デリーで一泊、翌土曜の朝早くにハイヤーでホテルを出発しアグラに向かうのが定番だった。デリーから日本へのフライトは夜遅くの出発が多かったから日帰りでタージマハル観光を組めば土曜夜のフライトで日本に向け出発してもらう問作戦だ。生真面目なジャパニーズサラリーマンは勤務中に観光したりしなかった。あくまでも移動日の余った時間を利用しただけである。こっちは休みを潰してお付き合いということになるがそれも駐在さんの役割だと自分に言い聞かせる。

デリーからアグラに向かう車中で一時間のうちに何種類の動物を目撃するか賭けたりしながら時間をやり過ごす。恒例のネタで結構楽しめる。牛、駱駝、山羊、犬、猫、象、馬、驢馬、猿、熊、鳩、インコの大群、孔雀、インド人、日本人などその種類は軽く10種類を超えた。僅差で賭けに負けそうになると人間を入れたり入れなかったりした。まさに俺がルールブックだ。

そうこうしているとアグラに近付き彼方にタージマハルが小さく見えてくる。青い空の下に真っ白に輝く姿はビューティフルだ。これからあそこに行くのだと思うと最初はドキドキしたものだ。何回か訪れると見え始めるポイントも心得ていて御一緒しているゲストにほら見えてきましたよとか言いながら観光ガイドよろしく歴史の本で仕入れたタージマハルに関する豆知識を披露するのであった。

私が行っていた頃はタージマハルの入り口までハイヤーで乗り付けることができた。しかしいつの頃からか自動車の排ガスに含まれる成分が原因でタージマハルの白い大理石が侵されているとして自動車で近づくことができなくなったそうだ。少し離れた駐車場からラクダや牛が引く車に乗ってアプローチするようになったらしい。

え?そんなに安いの?と驚くほど安価な入場料を支払い入場(今は外国人料金が結構高くなってる様子)、メインゲートまで進むといきなり眼に飛び込んでくるのがこれ。初めて見るときは結構感動モノです。

ゲートをくぐりチャールバーグと呼ばれる庭園を進みます。

チャールバーグの真っ直ぐな道を歩を進めると段々と眼の前のタージマハルが大きくなってきます。そして壁面にびっしりと施された細工の細かさが段々とわかるようになってきます。遠目には真っ白に見えていたのですが実に細かい細工がびっしりで結構見ごたえがあります。

タージマハルはシャー・ジャハーンが王妃であったムムターズ・マハルのために建立した霊廟です。愛の塊なのです。そのシャー・ジャハーン、自分のために川を挟んだ向かい側に黒大理石でもうひとつ霊廟を建立しようと考えていたそうで、なかなかロマンのある御方です。しかしその夢も国の勢いが無くなると同時に実現させることはありませんでした。タージマハル内部にはシャー・ジャハーンとその王妃の棺が安置されています。

靴を脱いで厳粛かつ敬虔な気持ちで拝観致しましょう。

内部に入ると壁一面に石細工が施されているのですがその石細工にペンライトの光を近づけてやると光が石を透過して反射する様が実に綺麗でどのガイドもそうやって観光客を喜ばせていました。それを見倣って私もお連れした皆さんに披露していたのは言うまでもありません。

アグラにはタージマハルの他にも見応えのある場所が多数ありますのでチャンスがあれば是非訪れてみてください。

ラジャ・マハラジャ― by 戸川純 (みんなのうた)

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